虫歯や歯周病で歯を失ってしまったとき、インプラントを考える方も多いかと思います。
そんな中、世には「格安インプラント」と呼ばれるものがあります。この格安インプラントは実際のところ大丈夫なものなのか?この記事では、インプラント費用の相場や格安インプラントが安い理由とその危険性について紹介していきたいと思います。
インプラント費用の相場
インプラントの相場とインプラント費用が高い理由
みなさん、インプラント費用の相場ってご存じですか?
じつはインプラント1本当たりの相場は30~50万と言われています。
そんなに高いの?保険適用できないのかしら?
インプラントは公的保険の効かない自費診療になります。そのため、それぞれの歯科医院で治療費を決めることができますので「決まった値段」というのは存在しないのです。
じゃあ、歯医者さんが稼ぎたくてみんなわざと高く設定してるんじゃない?
いいえ。そもそもインプラント治療には歯科医院側もお金がかかるものなのです。
これらの理由から、歯科医院側もインプラントには本来お金がかかるものなのです。
インプラント費用が高い歯医者がいるのはなぜ?
インプラント費用の相場が30~50万円というお話をしましたが、この相場の中でも50万円近い費用を要することがあります。このようにインプラント費用が高くなる原因には次のことが考えられます。
①都心部や都市部の歯科医院
②歯科医師に権威があったり、技術力が評価されている
③前歯の治療で人工歯の部分に費用がかかる
それぞれについてご説明しますね。
①都心部や都市部の歯科医院
都心部や都市部の歯科医院でインプラント治療するには、相場のなかでも高めの費用に設定されていることが多いです。土地代が高かったり、周囲の相場が高いためそれに合わせて費用が引きあがっていることが考えられます。
ただし、都心部や都市部ではそのぶん有名な歯科医師が多いこともありますので、十分吟味したうえで腕のいい歯科医師に治療してもらえる可能性が高くなります。
②歯科医師に権威があったり、技術力が評価されている
これは一概には言えませんが、腕がよく、有名な歯科医師の場合は技術料として費用が高く設定されていることがあります。だからといって、治療費の高いすべての歯科医院がそういうわけではないので、歯科医院のホームページから歯科医師の経歴や実績をよく確認して選ぶようにしましょう。
③前歯の治療で人工歯の部分に費用がかかる
インプラントを埋入したあとは、大体自費の歯を入れます。自費診療の人工の歯にはさまざまな種類がありますが、機能性、審美性が高いほど高額になります。前歯は一番見えるところになりますから、特に審美性の高いものを選ぶことになるでしょう。
そうなると必然的にインプラントにかかる総額が高くなります。
格安インプラントが危険な理由
さて、ここまでインプラントは高いものですよ!というご紹介をしてきました。
そんな中でこんな広告を目にしたことはありませんか?
インプラント1本10万円から~!!
はい。激安ですよね。インプラント費用の相場30~50万円のほうがぼったくりなんでは…と思ってしまうくらい安いです。
しかし、ここまで記事を読んでくださった読者さんには分かりますよね。そう、そもそもインプラントは高いものなんです!!
格安インプラントが安い理由
ちまたで見かける格安インプラント。この格安インプラントはなぜこんなにも安いのでしょうか?
次の理由が考えられます。
①安いインプラントを使っている
歯科用インプラントを販売しているメーカーは世界的にみると数百社を超えると言われています。
そのため、値段もピンからキリまであります。安いメーカーのインプラントが必ず悪い品質とは限りませんが、なかには粗悪品もあります。インプラントの質が良くない場合、すぐにインプラントが抜けてしまったり、耐久性がなく、インプラントとしての寿命が短いことが起こり得ます。
その点、知名度が高いメーカーのインプラントは値段はある程度高いものの、世界的にシェアが大きいため信頼できる実績もあります。自分の体に埋め込むものですから、安ければいいわけではありませんよね。
②人工歯の質がよくない
インプラントを埋め込んだ上には、これから自分の歯となる人工歯をつけます。インプラント治療で使う人工歯は、保険適用外の自費診療の歯を入れます。この人工歯ですが、これもまた数多くの種類やメーカーが存在します。そのなかで人工歯が粗悪なものであると、歯が欠けたり、何度も脱離したり、かみ合わせが悪くなることがあります。必ずどんな種類の人工歯を使うのか確認しておきましょう。
③設備にお金をかけていない
インプラント治療は外科手術です。安全に行うためには設備にお金がかかります。
事前検査に必要な歯科用CT、衛生管理のためのオペ室などがしっかりと完備されているのか確認しましょう。
④歯科医師の知識や技術不足
これは本来あってはならないことですが、格安インプラントを提供している歯科医院のなかには歯科医師の知識や技術が不足しているケースも考えられます。もちろん、若い歯科医師で経験が浅いことは誰しもが通る道なので、「=知識や技術がない」と判断するには早計です。若い先生のなかにも、たしかな知識と技術を持つ方もいます。問題なのは、最新知識を得たり、技術を高める向上心のない「なんちゃってインプラント打てますよ歯医者」です。歯科医師の技術次第で、インプラントの寿命も使い心地にも差が出ます。
歯科医師の技術力は素人には分かりませんので、歯科医院のホームページで歯科医師の経歴をチェックしてみてください。チェックするポイントは次になります。
⑤追加料金が多い
インプラント治療に関わる費用には主に次のようなものが含まれます。
・審査、診断費用
・インプラント手術費用
・付随手術費用(骨や歯肉が足りない場合に追加で行う)
・上部構造費用(人工歯)
・メンテナンス費用
格安インプラントの場合、例えば「インプラント手術費用は10万円だけど、診断料や上部構造には別料金がかかります」といった具合に追加料金制のところがあります。この場合、下手すると結果的に総額として相場より高くついてしまうこともあります。そのため、歯科医院を選ぶ際は料金体系を必ず確認しておかないと、あとで痛い目をみることがありますのでご注意ください。
⑥メンテナンス費用が高い
インプラントは入れて、「ハイ終わり~」ではありません。必ずメンテナンスが必要なものです。
厚生労働省もインプラントにおけるメンテナンスの有意性を紹介しています。(※1)
インプラント後のメンテナンスを怠った場合、インプラントの寿命を早めたり、インプラント周囲が腫れるなどのトラブルが起こる可能性があります。しかし、歯科医院の中にはインプラントを入れたあとのメンテナンスに1回1万円以上かかるなど、メンテナンスで儲けようとするケースもあります。
インプラント治療は埋入した歯科医院以外だとメンテナンスを断られる可能性もありますので、その場合は高いメンテナンス費用を払い続けなければなりません。(どういう状態でインプラントを入れたか分からず、メンテナンスで問題が起こっても責任がとれないのでインプラント治療した歯医者以外では敬遠されます。)
さらにインプラント部位のメンテナンスには知識と技術が必要になります。歯のメンテナンスを行う歯科衛生士がそうした知識と技術をしっかり持っているといいですね。
格安インプラントが危険な理由
格安インプラントが安い理由をご紹介してきました。
危険な理由は安い理由にあります。
このことから
・インプラント周囲のトラブルが多い
・インプラントの寿命が短い
・人工歯が合わない、壊れる
・料金が相場より高くなる
などの危険性があります。
自分自身の体、そしてお金にも影響しますので慎重に歯科医院を選ぶようにしてください。
インプラント治療が上手い歯科医院を見つける方法
すべての歯科医院がそうであるとは言えませんが、格安インプラントには「安い理由」=「リスク」が存在する可能性があります。インプラント治療は失敗すると、すぐに外れてしまったり、痛くなる、違和感があるなどの症状が出ることがあります。
インプラント治療をする際は、値段ではなく、安心と信頼を持てる歯科医院を選ぶことをおすすめします。
どんな歯科医院がおすすめなのか。インプラント治療をするなら次のチェックポイントを確認して歯医者さん選びをしてみてください。
格安インプラントの危険性についてお分かりいただけたでしょうか?
是非この記事を参考に、自分に合った歯医者さんが見つけられますように。