知覚過敏がしみる…なんで知覚過敏になったの?
冷たい飲み物を飲んだとき、歯ブラシをしたとき、冷たい夜風が歯に当たったとき…キーンと歯がしみる知覚過敏。悩む方も多いのではないでしょうか?
知覚過敏は歯ぎしりや歯磨きの仕方によっても起こることがあります。
この記事では、知覚過敏持ち歯科衛生士の管理人が知覚過敏になる原因と悪循環、知覚過敏の対処法について詳しく解説します。
知覚過敏の原因とは?
そもそも、なにゆえ知覚過敏になるのか…知覚過敏になった原因について自覚がある方というのは少ないと思います。
なぜなら、知覚過敏はさまざまな要因によって起こります。ここでは、知覚過敏のしくみと原因についてご紹介します。
知覚過敏が起きるしくみ
知覚過敏は歯の表面への刺激を象牙細管が神経に伝えることで起こります。
歯は構造上、表面からエナメル質、象牙質、歯髄(歯の神経)の順でできています。
象牙質の中には歯の神経に向かって、たくさんの細い象牙細管という管が通っています。象牙細管には刺激を神経に伝える役割があります。
通常、象牙質はエナメル質に覆われており、極端に冷たいものでない限りは刺激を感じることはありません。しかし、何らかの原因によってエナメル質が薄くなっていたり、象牙質が露出したりすると、冷たいものやブラシなどの刺激が象牙細管から歯髄に伝わって痛みを感じます。
知覚過敏の原因7選
知覚過敏になる原因は複数あります。また、複数の要因が重なっている場合もあるため、原因の特定が難しいケースもあります。
①ブラッシング圧が強い
歯磨きで強く磨きすぎると歯の根元が楔状に削れて、知覚過敏の症状が起こりやすくなります。
皆さん、歯を磨くときにどれくらい力をいれていますか?正常な歯磨きの強さは150~200gと言われています。
グラムで言われても…と思いますよね。目安としては歯ブラシの毛先が広がらず、歯と歯の間にも毛先が入るくらいの強さです。
特に男性だと力が強いので300g以上の強さで磨いている方も結構いらっしゃいます。
強くゴシゴシ磨いたほうが磨いた感じがすると話す方も多いのですが、実は過度に力をかけすぎるとブラシが広がりすぎて清掃能力が下がるのです。
歯が削れるし、汚れはちゃんととれないし…とブラッシング圧を強めても良いことゼロなので気を付けましょう。
②噛み締め、歯ぎしりがある
噛み締めや歯ぎしりの癖がある方は歯の根元に力がかかり、根元が欠けて知覚過敏の症状が出やすいことがあります。
スポーツするときや集中しているときに噛み締める癖がある人も少なくないでしょう。また、寝ている間に無意識に歯ぎしりをしている方も多いです。(私の歯ぎしり音は夜間工事並みと言われます。)
人の噛む力というのは想像以上に大きいです。平常時、食べるときの咬合力はおよそ自分の体重くらです。
しかし、噛み締めや歯ぎしりのときの咬合力は自分の体重の5倍以上だとされています。恐ろしいですよね。
そのため、噛み締めや歯ぎしりの力によって歯の根元に負担がかかり、歯の根元が欠けてしまうことがあります。そうすると象牙質が露出して歯がしみやすくなります。
③歯の咬耗
歯がすり減って知覚過敏が起こるケースもあります。
年齢とともに歯は少しずつでもすり減っていきます。そうすると、噛む面のエナメル質が薄くなっていって最終的に象牙質が露出し、歯がしみるようになります。
ただし、実は咬耗していても知覚過敏にならないことがあります。加齢に伴って歯髄腔が狭くなったり、象牙細管が塞がったりすることがあるため、刺激が神経に伝わりにくくなるからです。
④歯が折れた
歯が折れて象牙質が露出すると歯がしみます。
歯の表面のエナメル質が少し欠ける分には痛みは出ませんが、象牙質の部分まで欠けてしまうと刺激が伝わりやすくなるため、痛みが生じます。
⑤歯茎が下がった
歯周病によって歯茎が下がると歯の根元がしみやすくなります。
健康な歯茎の場合に隠れている歯の根元部分はエナメル質で覆われていません。そのため、歯周病で歯茎が下がると象牙質が露出して知覚過敏になりやすくなります。
⑥虫歯の処置後
虫歯の処置のあとに知覚過敏になることがあります。
歯を削ることで痛みに敏感になったり、噛み合わせの影響から歯がしみるようになる場合があります。
時間とともに痛みが落ち着くことが多いですが、長引く場合には再治療や歯の神経を抜く処置が必要となることも。
⑦ホワイトニング
ホワイトニング後の1~3日程度は知覚過敏の症状が出やすいです。
過酸化水素を使用するホワイトニングの成分の影響から一時的に歯がしみやすい状態になります。
知覚過敏の悪循環
知覚過敏が起こると、知覚過敏が悪化する悪循環に陥ることがあります。
【知覚過敏のデフレスパイラル】
知覚過敏
↓
歯ブラシがしみるのでうまく歯磨きできない
↓
汚れがたまる
↓
歯周病や虫歯が進行する
↓
虫歯菌が歯の表面を溶かす
↓
象牙細管が開く
↓
刺激が神経に伝わりやすくなる
↓
知覚過敏が悪化!!
このように知覚過敏が起こると、歯周病や虫歯のリスク、知覚過敏の悪化が心配されます。そのため、症状を放置せずに対処する必要があるのです。
知覚過敏への対処法7選
知覚過敏は残念ながら、根本的な予防方法がないのが現状です。しかし、次のような対処をすることで痛みを軽減することが可能です。
①フッ素配合歯磨き粉を使って歯を修復する
フッ素配合歯磨き粉で歯磨きすることで知覚過敏の症状が治まるケースも。
軽度の知覚過敏の場合、痛みが自然と落ち着いてくることがあります。唾液や歯磨き粉の成分によって歯が再石灰化して象牙細管が封鎖されることによって痛みが消失するからだと考えられています。
フッ素には、歯の石灰化を促進する効果があります。そのため、フッ素配合歯磨き粉を使用することで歯の表面を修復して知覚過敏が治まることがあります。
※重度の症例になると自然と痛みが治まらないケースもあります。
②歯ブラシの仕方に気をつける
歯ブラシを強くゴシゴシ磨くとその分、歯にも負担がかかります。特に歯の根元は影響を受けやすく、知覚過敏になりやすいので優しく歯磨きしましょう。
また、固めのブラシを使うと余計に歯と歯茎を傷つける可能性があります。固めの歯ブラシが好きな方もいるかと思いますが、市販の歯ブラシは普通~やわらかめを選ぶようにしましょう。
③知覚過敏用の歯磨き粉を使う
知覚過敏用の歯磨き粉を使うと知覚過敏の症状を和らげられます。
知覚過敏用の歯磨き粉には硝酸カリウムという神経の興奮を抑える作用のある成分が配合されています。神経の興奮を抑えることで、知覚過敏の症状が軽減されます。
また、研磨剤が無配合のものを選ぶとさらに良いでしょう。
④知覚過敏の薬を塗る(歯をコーティングする)
歯科医院では公的医療保険で知覚過敏の治療をしてもらえます。その第一選択となるのが、知覚過敏の薬です。
露出した象牙質をコーティングする薬を塗ることで象牙細管に蓋をして刺激を伝わりにくくします。数回にわたって塗り続けていくことで効果を感じやすいです。
しかし、歯ぎしりがある方だとコーティングがすぐ取れてしまったり、重度の知覚過敏だと薬によるカバーでは足りずに効果を実感できないことも。
その場合は歯医者さんに相談して他の方法を試してみましょう。
⑤歯をカバーする(樹脂の材料)
上記でお話した知覚過敏の薬で効果が出ない場合は、さらにコーティング力の高い材料で象牙質をカバーします。
レジンと呼ばれる歯の色をした樹脂の材料で象牙質をコーティングします。薬よりも厚くて丈夫なので、コーティング力が強いです。
ただし、経年劣化する材料なので、茶色く変色してカバーしたところが目立つことがあります。気になるときは歯科医院で相談して材料を詰め治すことも可能です。
⑥レーザー治療
保険外治療となりますが、レーザーを歯に当てることで知覚過敏の症状を抑える方法もあります。
レーザーを当てることで象牙細管に薄い膜が張って、痛みが神経に伝わりにくくなります。
レーザー治療は自由診療のため、歯科医院によって料金が異なります。また、取り扱っている歯科医院も限られますので、あらかじめ確認してみてくださいね。
⑦マウスピースをつける
歯ぎしりや噛み締めがある方はマウスピースをつけることで知覚過敏の症状が緩和される場合があります。
自分も実は重度の歯ぎしり名人で知覚過敏です。特に歯ぎしりがひどかった次の日は、知覚過敏もひどい…。
そんな方はマウスピースをつけるだけでも、知覚過敏の改善が期待できます。マウスピースをつけることで歯への負担が軽減されるからです。
歯ぎしりは顎関節症の原因にもなりますので、あわせてマウスピースをおすすめします!
まとめ
知覚過敏の原因と対処法について詳しく解説してきましたが、いかがでしたか?
この記事のポイントは次の3つです!
知覚過敏は軽く見ると、あとから痛い思いをすることも。すぐ実行できる歯磨きの仕方などは、すぐに取り入れてみてもいいと思います。
また、知覚過敏だと思っていて他の病気が隠れている場合もあります。知覚過敏の症状が長引くときには、ぜひ歯科医院で相談してみてくださいね。